2018.05.15
連載阿部吾郎の日本撮影スポット巡り
【埼玉県・朝霞市】約50種類もの野鳥を観察できる黒目川を歩こう!
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黒目川は東京都東久留米市から埼玉県新座市、朝霞市を流れ、新河岸がと合流した後、荒川に注ぐ。黒目川の朝霞市を流れる部分は、川の両岸に遊歩道が整備されており、約50種類もの野鳥を観察できる。住宅地を流れる川だが、水はきれいで魚も多く、市民の憩いの場となっている。
私は既にフォトテクニックのコーナーに、黒目川の野鳥を紹介する記事を3本書いている。これは、野鳥を種類ごとに紹介する記事だ。今回は、黒目川そのものを紹介するとともに、ここで観察できる野鳥をインデックス的に紹介しようと思う。
黒目川は、以前は非常に汚い川であったが浄化運動が実を結び、今では澄んだ水が流れる非常にきれいな川になっている。大きなコイやニゴイなどが泳いでいる姿がよく見られる。鳥たちがヌマチチブ、ウキゴイ、稚鮎などを捕まえているところもよく目撃される。
野鳥は、私が観察を続けたところ、47種類を確認した。ネットで目撃情報を探すと、さらに数種類はいそうだ。
とはいえ、もっといろいろな野鳥がいるポイントは他にもあると思う。しかし、この黒目川は非常に野鳥を撮影するのに適しており、特に初心者にはおすすめである。というのは、川幅がちょうどよい広さで、対岸にいる鳥でも比較的簡単に撮影できる。鳥が止まるのにちょうどよい木もあり、葉っぱが落ちる冬場は、カワセミも簡単に撮影できる。小さな河原が形成されている場所もところどころにあり、こういった場所を好むチドリ類やシギ類も観察しやすい。両岸に遊歩道が整備されているのもポイントだ
さて、野鳥たちをご紹介する前に、黒目川の風景を少しご覧いただきたい。派手な絶景ポイントは無いが、季節を感じさせる風景にちょくちょく出会える。特に春は、美しい花の風景を見られる。
住宅地の間を流れる黒目がの様子がよくわかる。どことなく懐かしさを感じるような、のどかな風景である。
遊歩道には、多くの桜が植えられていおり、桜祭りも開催される。
桜まつりの期間中は、提灯が並び桜がライトアップされる。川面に提灯の光が反射して美しい。
浜崎黒目橋は、JR武蔵野線の北朝霞駅からまっすぐ坂を下ったところにある。黒目川散歩の起点になる橋だ。
桜まつりが終わってから咲く八重桜。
夕方になると、多くの人が犬を連れて散歩している。
東上線高架付近にある浜崎黒目花ひろばでは、5月になるとポピーが一面に咲き誇る。
この一帯は、黒目川が作り出した河岸段丘になっており、高低差がある。このため、住宅がパノラマのように立体的に並んでいる。
泉橋の橋脚のところ。自然に土が溜まって生えたのか、植えたのかよくわからないが、かなりおしゃれだ。桜が咲くころに見られる。
黒目川周辺では、猫も良く見かける。
猫好きの方は、猫を探して歩くのもいいだろう。
さて、ここからようやく黒目川の野鳥たちをご紹介して行こうと思う。
秋から冬にかけて、黒目川は鴨の楽園になる。水がゆっくり流れている場所などは本当に鴨だらけである。
ヒドリガモは群れが大きく、数は一番多い。秋から冬の間のみ黒目川に滞在している。ヒヨーという大きな声で鳴くのでヒドリガモがいるのがすぐわかる。
オナガガモも秋から冬に見られる。こちらも群れで行動するがヒドリガモほど群れが大きくない。模様がとにかくおしゃれだ。
カルガモは、唯一黒目川で子育てをするカモである。親ガモが子ガモ達を引き連れて泳ぐ様子が見られるのは5月~6月ごろだ。
ハシビロガモは、レアキャラだ。つがいで泳いでいる場合もあるし、オスまたはメスの単独でいることもある。中学校のプールで目撃されることもある。
この他、マガモとコガモも黒目川で見ることができる。今のところ、合計6種類のカモを確認している。
カワセミは黒目川を代表する鳥だ。ある一定の季節にしか見られない鳥が多いが、カワセミは年中見られる。5月~7月ごろには、少し黒っぽい色をした幼鳥も見られる。
ピーピーとかん高い声で鳴きながら飛んでくるので見つけやすい。
サギ類は4種類いる。
アオサギは、黒目川の王様だ。これが来るとカラスが警戒しながら周囲を飛び回り、コサギなどは蹴散らされて逃げていく。スッポンを捕まえて食べているのを目撃したことがある。
ダイサギは、コサギより大きく、くちばしが黄色い(繁殖期には青っぽい色に変わる)。純白の羽根を広げる瞬間を狙いたい。
コサギは、一番頻繁に見られるサギだ。黄色い足を小刻みに動かして魚を驚かせて捕まえる。
白いサギは写真を撮るのが難しい。露出をかなりアンダーにしないと白とびしてしまう。
もう一種類、たまにしか見られないがゴイサギもいる。夜行性なので夕方ぐらいから動き出す。幼鳥のホシゴイも見られる。
エナガは、1月~3月ごろまで、群れでやってくる。動きが早く写真に撮るのは難しい。とにかくかわいいので人気者だ。
巣づくり、子育ては違う場所で行っているが、その前の栄養補給に来ているのだろう。木から木へ移動し、盛んに虫を獲っている。
シギ類は3種類確認されている。
タシギは11月~1月ごろに見られる。長いくちばしで川べりの泥のところでミミズなどを獲っているところが見られる。
イソシギは冬から春にかけて頻繁に見られる。石の上でおしりを振っている姿がかわいい。
キアシシギはレアキャラだ。今年、昨年とも5月ごろに1羽のみ飛来して、数日間同じ場所に滞在していた。
チドリは2種類いる。
コチドリは春になるとやってくる。つがいで行動することが多い。目の周りの金環が特徴。
イカルチドリは秋から冬にかけてみられる。コチドリよりやや大きく、目の周りの金環があまりはっきりしていない。
オオバンは、昨年の秋から今年の冬にかけて、一組のつがいがずっと黒目川に滞在していた。幼鳥も1羽確認した。
黒目川と新河岸川の合流地点に、群れが来ていたこともある。
クイナは、かなりのレアキャラだ。臆病な鳥で、いつも藪の中に隠れている。たまに姿を現したところに出くわしたら運がいい。
コゲラはキツツキの一種で、桜の木などをよくつついている。ギーギーという低い声が頭上から聞こえてきたら、コゲラがいる。
オナガはカラスぐらいの大きさで、群れで行動する。羽の青がとても美しく、個人的には大好きな鳥だ。住宅街にもよく出現する。
黒目川では、木や電柱についた虫を食べたり、水浴びをしたりしている。
アトリは、黒目川では超レアキャラ。昨年の桜が散ったころに2日間だけ群れが滞在していた。それ以外、見かけたことはない。
シジュウカラは年中たくさん見られる。ツツピーツツピーという鳴き声ですぐわかる。
冬場に枯れた葦の茎にへばりついて、中にいるカイガラムシを穿り出す様子がおもしろい。
アオジは、秋から冬にかけて見られる。
低い所にいることが多い。藪の中から、ヒーヒーという小さな、まるで虫のような声がするとアオジが潜んでいる。
カワラヒワは春を告げる鳥だ。春になるとピリピリと鳴きながら飛びまわる。住宅街にも出現する。
夏が終わって秋が来るころから見られるようになる。モズを見かけると、今年も鳥の季節が来たなと思う。
オスはメスに比べ顔の模様がはっきりしている。
カワイイが獰猛な鳥で、スズメやメジロなどを襲って食べる。
カワウは年中見られる。スーっと飛んできて着水し、そのまま潜水して魚を獲る様子を見ていると、精密な機械の様に見えてくる。かなり大きな魚も捕まえて、文字通り鵜呑みにしてしまう。
ジョウビタキは、オスとメスが全く違うので、違う種類の鳥だと思ってしまう。
オスは、オレンジと黒のまさにジャイアンツカラー。
この鳥は、あまり人を恐れない個体が多く、撮ってくれといわんばかりにポーズを決めてくれることもある。
ホオジロは、黒目川と新河岸川の合流地点の葦原で数羽確認した。この場所以外では目撃したことはない。
セキレイ類は4種いる。
キセキレイは、胸の美しい黄色が特徴。秋から冬に見られる。
タヒバリもセキレイの一種だ。冬場に見られる。
この他、セグロセキレイとハクセキレイはたくさんいる。
ここまで写真と文章で紹介した野鳥は33種類。
ハシブトガラス、ハシボソガラス、キジバト、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、ユリカモメ、イワツバメ、ツグミといった一般的な鳥は黒目川にもいる。
メジロは桜の花が咲くとやってくる。
川のすぐ横の畑には、春になるとヒバリがやってくる。
姿や鳴き声を確認したものの、写真に撮れていないのがカイツブリとオオヨシキリだ。
カッコウは、鳴き声のみ聞いたことがある。
キジ、ヒクイナ、ツミはネット上に目撃談があった。
これで合計ちょうど50種類だ。
まだ撮影できていない鳥を狙いながら、さらに別の鳥がいないか観察を続けようと思う。
フォトテクニックのコーナーでは、鳥の種類ごとに詳しい記事をかいているので、こちらもご覧いただきたい。
現在は3本のみだが、順次追加して行く予定だ。
カワセミ
コチドリ
アオサギ
撮影スポット情報
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写真家情報
阿部吾郎詳細
得意分野 | 風景 | 拠点 | 11埼玉県 | 所属団体 | 日本旅行写真家協会 |
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分類 | プロカメラマン |
トラベルガイド株式会社代表・ツアープランナー・カメラマン・ライター
旅行会社で20数年勤務したのち起業。マレーシアの旅行情報サイト「トラベルガイドマレーシア」を運営、自ら写真撮影・文章執筆を行う。カメラマンとしてアジアを中心に撮影を行い、旅行会社を中心に画像素材を提供。