2018.11.27
連載阿部吾郎の日本撮影スポット巡り
【兵庫県・豊岡市】コウノトリの郷公園で大空に舞うコウノトリを撮る
- 旅の撮影スポット
- 28 兵庫県
- 野鳥撮影スポット
- 阿部吾郎の日本撮影スポット巡り
兵庫県豊岡市はコウノトリの街として有名です。市内では、コウノトリの姿をしばしば見ることができます。一度は絶滅した日本のコウノトリを復活させた、その中心を担っている施設が兵庫県立コウノトリの郷公園がの中にあります。ここには、観察ゾーンがあり、大空を舞うコウノトリの姿を撮影できるスポットがあります。
コウノトリの郷公園の観察ゾーンにある公開ケージです。ここでは、羽を切ってあるコウノトリ9羽を観察することができます。それ以外にも、放鳥されて外部で暮らしているコウノトリたちもやってきます。
日本のコウノトリは完全に絶滅しており、ロシアのハバロフスクからもらい受けたヒナを飼育し、繁殖、巣立ちを行い、コウノトリの野生復帰を行っているのがこの施設です。
施設の外にある人口巣塔にも、コウノトリがいます。
朝10時になると、エサやりが始まります。池の中に、生きた魚が投げ込まれコウノトリたちがこれを捕まえます。
これを撮影するのも楽しいのですが、コウノトリの撮影をもっと楽しみたいなら、このエサの時間の前には公園内に到着しておく必要があります。
9時半ごろまでには到着するようにしてください。
***現在、野外に生息するコウノトリの給餌依存を防ぐため屋外での定期的なエサやり行われておりません。最新の情報を公式ページでご確認の上お出かけください。 2021年10月2日追記***
エサの時間が近づくと野外で暮らすコウノトリたちが一斉に集まってきます。
公開ケージの後ろに小さな丘があり、この上に登ると集まってくるコウノトリたちを撮影することができます。
どんどん集まってくるので、9時半ごろからの30分間は飛んでいるコウノトリの撮影チャンスが何度も訪れます。
オートフォーカスは追尾モード、フォーカスポイントは9点など少なめにし、連写で撮影します。
コウノトリ撮影の難しい点は、露出のコントロールです。白い部分と黒い部分がはっきり分かれている、明暗差のきつい被写体です。ちょっと白い部分に日光が当たるとすぐに白飛びします。
このため、青空バックもいいのですが、山をバックにして、暗めに撮影した方が、白い部分がきれいに撮れます。
連写でずっとコウノトリを追っていくので、途中で設定を変えることはできません。
山をバックに飛んでいる間は適正露出でしたが、青空の方まで追っていくと、日光が当たった白い部分は飛んでしまいます。
青空バックを狙うなら、さらに暗めの設定が必要ですね。
少し画面からはみ出すぐらいに撮ると、コウノトリのダイナミックさを表現できます。
エサの時間になると、お相伴にあずかろうと他の鳥たちもやってきます。特に、アオサギはたくさん集まってきます。
川などでアオサギを見かけると大きいなあと思うのですが、コウノトリと並ぶと小さく見えます。
ダイサギも数羽来ていました。
猛禽類のノスリもいました。この鳥は、小さな鳥やモグラ、カエルなどを食べるので、コウノトリのエサを横取りしに来たわけではなさそうです。
ジョウビタキが、木の上でさかんにさえずっていました。
この周辺は、とても自然が豊かな場所ですので、ゆっくり散策すればいろいろな鳥が見られそうです。
この時期は、コハクチョウ、ヒシクイ、タゲリなどが観察できるそうです。
公開ケージから10分ほど遊歩道を歩くと観察ゾーンの東公開エリアに到着します。ここには、コウノトリや水鳥が集まるよう湿地が整備されています。
そこから、北の方に広がる田んぼの方を眺めた風景が上の写真です。
手前から2本目の電柱にコウノトリが止っているのがわかるでしょうか?
850mmの望遠で撮影したのが、こちらです。
この個体は「えひめ」と呼ばれています。この個体は足に識別用のリングが付いていません。
何度も愛媛県と豊岡市の間を行き来しているそうで、この愛称で呼ばれいます。
そう言われると、他の個体よりちょっとワイルドな雰囲気がするような・・・
愛媛県から、わざわざこの個体を撮影しに来るカメラマンもいるそうです。
コウノトリを復活させたこのプロジェクト、すばらしいですね。
大きくて、美しいこの鳥は、豊岡市の自然豊かな風景の中で特別な存在感があります。
被写体としても最高です。
コウノトリ復活に尽力された方々に敬意を表したいと思います。
撮影スポット情報
兵庫県立コウノトリの郷公園
関連記事
写真家情報
阿部吾郎詳細
得意分野 | 風景 | 拠点 | 11埼玉県 | 所属団体 | 日本旅行写真家協会 |
---|---|---|---|---|---|
分類 | プロカメラマン |
トラベルガイド株式会社代表・ツアープランナー・カメラマン・ライター
旅行会社で20数年勤務したのち起業。マレーシアの旅行情報サイト「トラベルガイドマレーシア」を運営、自ら写真撮影・文章執筆を行う。カメラマンとしてアジアを中心に撮影を行い、旅行会社を中心に画像素材を提供。