2018.03.09
連載阿部吾郎の日本撮影スポット巡り
【和歌山県・和歌山市】パルテノン神殿のように城下町を見守る「和歌山城」
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和歌山市のまさに中心にあり、小高い丘の上から街を見守る和歌山城。初めて和歌山市を訪れて、この風景を見た瞬間、かつて見たギリシャのパルテノン神殿を即座に思い出した。もちろ、建物の風情は全く違うが、アテネの街を見守るパルテノン神殿と同じような神々しさ、威厳、親しみといったものを感じさせてくれる風景だ。
今回、ある仕事があって初めて和歌山市を訪れた。昼前に到着し、その仕事を終えたあと、ニコンD750に24-120mmのレンズを装着、それだけ持って街に出た。
いろいろ行ってみたいところはあるが、翌朝には出発しないといけない。今回は、和歌山城に絞って、撮影することにした。
連立式天守閣となっており、左手の三層の天守閣に連なって門や櫓、台所から右手の小天守閣へと続いている。このため、下から見ると長く白い塀が印象的だ。
和歌山城には6つの門があるが、これはそのひとつの追廻門(おいめぐりもん)だ。追廻とは馬術練習場のことで、この門の向かいにそれがあったことによる名前だ。陰陽道で裏鬼門にあたるため、魔よけのためみ朱塗りとなっている。
追廻門から場内に入り、少し行くと西の丸庭園がある。江戸時代初期に造られて回遊式の城郭庭園。内堀を池に見立てている。紅葉の名所として知られている。
奥に見えているのは、御橋廊下(おはしろうか)で殿様やお付の人が二の丸と西の丸を行き来するために造られた屋根付きの橋。平成18年に復元されたものだ。
内堀には、美しいオシドリやマガモが泳いでいた。
西の丸庭園を抜けて二の丸広場に出ると、御橋廊下の入口があり、渡ることができる。上下逆さまにしても、わからないような写真が撮れる。
二の丸広場の向かいから裏坂を登ると天守閣に到着する。天守閣からは、和歌山の街を360度眺めることができる。ちょうど、和歌の浦に夕日が沈みかける時間であった。
下の写真は、太陽がこの位置だと、まだかなり明るく、自動露出だと白っぽい写真になってしまうので、-1.3EV補正して夕日の色を出した。
また、天守閣やタワーの上から景色を撮影する場合、景色だけを撮ると、どういう状況の写真なのかわからないので、上の写真のように、あえて手前の様子を入れたカットも撮影しておくとよい。
この2枚は、天守閣の横にある本丸御殿跡から撮影したものだ。夕日の時間では逆光となり、ライトアップもまだ点燈していないので城自体はちょっと暗くなってしまうが、城の背後が夕日で染まるとちょっとドラマチックな写真が撮れる。
おそらく順光になる午前中にも撮影してみたいスポットだ。
今度は、表坂で丘を下り、大手門から場外に出て、西の丸の方に向かってお堀沿いを歩くと、この撮影スポットに出られる。
堀を渡る御橋廊下の向こうに天守閣が見える、一番の撮影スポットだ。
お城と御橋廊下はライトアップされており明るいが、石垣や木々は暗く明暗差が激しい。暗い部分がべったり黒つぶれしないで撮れるのは、上の写真ぐらいの明るさの時間だ。
この日は三脚を持っていなかったので、ISOは1600として、ライトアップ部分の白とびを防ぐためマイナス補正で撮影した。
このぐらいの時間になると、暗い部分はつぶれてしまうので、縦位置の方が構図を作りやすい。
お城と橋を両方しっかり写したかったので、少々絞り込み、カメラを持つ手を柵に固定して撮影した。
なお、下の地図はこの撮影スポットの位置を示している。
今回は、カメラ一台だけもっての気軽な撮影だったが、またじっくり撮影してみたい衝動にかられる被写体であった。
場内には野鳥も多く、野鳥を狙うカメラマンも来ていた。
撮影スポット情報
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写真家情報
阿部吾郎詳細
得意分野 | 風景 | 拠点 | 11埼玉県 | 所属団体 | 日本旅行写真家協会 |
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分類 | プロカメラマン |
トラベルガイド株式会社代表・ツアープランナー・カメラマン・ライター
旅行会社で20数年勤務したのち起業。マレーシアの旅行情報サイト「トラベルガイドマレーシア」を運営、自ら写真撮影・文章執筆を行う。カメラマンとしてアジアを中心に撮影を行い、旅行会社を中心に画像素材を提供。