2017.05.07
連載阿部吾郎の日本撮影スポット巡り
【宮城県・白石市】忠実に再現された見事な天守閣と桜の共演「白石城」
- 旅の撮影スポット
- 04 宮城県
- 城・要塞
- 桜
- 阿部吾郎の日本撮影スポット巡り
白石城の天守閣は、文政6年(1823年)に再建された3階層の櫓を、伝統工法により木造で再建したもの。再建とはいえ、当時の姿を忠実に再現した見事な建築物だ。本丸を含め一帯は公園として整備されており、桜の名所としても知られている。
白石城は、もともと伊達家家臣の片倉氏の居城であったが、豊臣秀吉の欧州仕置によって蒲生氏郷の支城となり大改修を受けた。現在の白石城は、この大改修後の形がベースとなっている。その後、関ヶ原の合戦の直前に伊達氏が白石城を奪い返し、伊達正宗の家臣、片倉小十郎が入場、以後明治維新を迎えるまで伊達氏の支城であった。江戸時代の一国一条令の例外として支城が認められたことでも知られている。戊辰戦争の際には、奥羽越列藩同盟の合議が白石城で開かれた。
上の2枚の写真は、大手二門と城壁の一部である。こちらも復元されたものだが、当時の様子をうかがえる見事な造りだ。
本丸内には、多くの桜の木が植えられ市民の憩いの場になっている。撮影に訪れた日は、桜は完全に満開で平日であったが花見をする人もちらほら見られた。東京なら足の踏み場もないほどブルーシートが広げられそうな場所だが、ここはのんびりしていてなかなかのお花見スポットだ。ちょっとお城から離れて、こういう写真も撮っておきたいところだ。
冒頭の写真と合わせて、こういった写真を撮るのがこの日のメインテーマだ。お城にいい感じで桜ががぶる場所を探す。人が写り込まない一瞬を待つのも大変だ。地上だけでなく、天守閣にも人がいないタイミングを狙う。お城か桜、どちらにピントを合わせるかという問題もある。どちらが正解とも言えないが、お城と桜どちらがメインかを考えると、お城がメイン、それを飾る桜といったイメージを考え、お城の方にピントを持ってきた。F11と絞り込んでいるので、桜の方にもそこそこピントはきている。
城をどこまで入れるかもポイントだ。個人的には、城全体を入れて額縁のように桜がそれを囲うような構図の上の1枚目が好きなのだが、思い切って上層部分のみを切り取るのも悪くない。
建物は、斜めから撮るのが基本と言われている。正面からだと立体感が出ないからだ。
上の写真は、立体感に乏しく、明暗差もきついので、あまりいい写真とは言えない。昼過ぎに撮影したのものなのだが、朝であればもう少し光線の状態がいいだろう。
しかし、城の正面であり、場内に入る階段の様子もわかりやすいので、こちらの構図も押さえることにした。
300円の入館料が必要だが、天守閣から風景も撮影したいので場内にも入ってみた。
3層目、天守閣の様子。
天守閣からの眺め。公園内の桜の向こうに白石市街が見える。周囲を山に囲まれた盆地であることがよくわかる。
本丸の外にある見事な枝垂桜。地上から撮ってもきれいなのだが、残念ながら木の間を電線が通っており、天守閣の上から撮影した方がきれいに撮れる。
毎年10月に開かれる小十郎祭では、大坂夏の陣での片倉軍と真田軍の戦いが再現される。その際に使用される片倉軍の青い鎧と真田の赤備えが展示されている。一番左は伊達正宗の兜。
ちなみに城内の撮影は自由だ。城内は薄暗いので本来はフラッシュを使用したいところだが、あいにく持っていなかったのでISOを上げて撮影した。
撮影スポット情報
関連記事
写真家情報
阿部吾郎詳細
得意分野 | 風景 | 拠点 | 11埼玉県 | 所属団体 | 日本旅行写真家協会 |
---|---|---|---|---|---|
分類 | プロカメラマン |
トラベルガイド株式会社代表・ツアープランナー・カメラマン・ライター
旅行会社で20数年勤務したのち起業。マレーシアの旅行情報サイト「トラベルガイドマレーシア」を運営、自ら写真撮影・文章執筆を行う。カメラマンとしてアジアを中心に撮影を行い、旅行会社を中心に画像素材を提供。