2016.11.09
連載阿部吾郎の日本撮影スポット巡り
【秋田県・鹿角市】大地が沸き立つ「マッドポット」を撮ろう!後生掛自然研究路
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「馬で来て下駄で帰る後生掛」と歌われるほどの効能の高さで知られる名湯後生掛温泉。温泉宿のすぐ横から始まる「後生掛自然研究路」は、あちらこちらからお湯や高温の泥が噴き出す地熱地帯です。
「後生掛自然研究路」の入口から少し歩くと、あちらこちらから湯気が噴き出す地熱地帯が見えてきます。
ひとつ前の写真の看板が立っている岩山から覗き込むと、上の写真の「オナメ・モトメ」が見えます。これは、湯気の噴出孔ですが左の大きい方をモトメ(本妻)、左の小さい方をオナメ(妾)といいます。
昔、ある若者が療養のためこの地に立ち寄り、看病してくれた巡礼の娘と結ばれ幸せに暮らしました。しかし、この若者は故郷に妻と子供を残していました。噂を聞きつけた本妻がこの地を訪れ、ことの重大さを知った巡礼娘はここに身を投げなくなりました。
潔く身を引いた娘に心を打たれた本妻も、後生を掛けて身を投じました。ここから、この地を後生掛と呼ぶようになったそうです。
オナメ・モトメから、さらに登って行くと「紺屋地獄」が見えてきます。
イオウ・硫化鉄・岩石の変質物などからなる泥と水蒸気が噴き出しています。染物を染める釜のように見えることからこの名前が付きました。
自然研究路の周りには、あちらこちらにマッドポットと呼ばれる泥の噴出孔があります。温度は94度あり、決して触ってはいけません。
別府の坊主地獄のように、ぼこぼこと湧き出てきますので、連写で撮影するとおもしろい一瞬を撮影できます。
10月の初旬に訪問しましたが、少し紅葉が見られます。
奥の方にある青い屋根の小屋が、先ほどの紺屋地獄があるあたりです。
画面右手に見える遊歩道を、ずっと歩いてきました。
ちなみに、青い小屋は、黒たまごを売っている売店です。
後生掛自然研究路の中で、最大の見どころ「大湯沼」です。
手前にはマッドポッドや泥火山がたくさん集まっています。奥の青く見える部分は83度のお湯が溜まり、水面下にマッドポッドが多数あります。
沼は、奥に向かって成長を続けています。
沼の奥に、かつて看板だったものが枠だけのこっています。
以前は、遊歩道があり沼を一周できたのですが、湯気が立ち上っている奥の方に向かって沼が成長を続け、今では通れなくなっています。
個人的に、手前のマッドポットが集まっている部分が気に入りました。
望遠で切り取ってみると、山が連なっているようにも見えます。
下の写真は、逆光を利用してあえて暗く撮ってみました。湯気の白さでいいコントラストができました。
遊歩道は、さらに奥に向かって進んでいきます。
このあたりで、入口の看板に「熊に注意しましょう」と書いてあったことを思い出しました。
そういえば、熊よけの鈴を付けている人も何人か見かけました。
ちょっとビビりながら進みます。
「中坊主地獄」です。
地熱地帯、川、紅葉、針葉樹に青い空と、なかなかの組み合わせです。
後生掛自然研究路、最後の見どころは「大泥火山」です。
厚さ8mの沈殿物の池で、水蒸気によって持ち上げられて噴き出した泥が堆積してできたものです。
湯沼式泥火山と呼ばれ、大正6年ごろから成長を続ける、日本で最大の泥火山です。
今でも、時々沈殿物を噴き上げますが、その温度は94度です。
「後生掛自然研究路」は、ゆっくり写真を撮りながら歩くと1時間30分ぐらいのコースです。
被写体にはこと欠かない、写真好きには楽しい場所です。
後生掛温泉に宿泊すれば、名湯も楽しめて一石二鳥です。
撮影スポット情報
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写真家情報
阿部吾郎詳細
得意分野 | 風景 | 拠点 | 11埼玉県 | 所属団体 | 日本旅行写真家協会 |
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分類 | プロカメラマン |
トラベルガイド株式会社代表・ツアープランナー・カメラマン・ライター
旅行会社で20数年勤務したのち起業。マレーシアの旅行情報サイト「トラベルガイドマレーシア」を運営、自ら写真撮影・文章執筆を行う。カメラマンとしてアジアを中心に撮影を行い、旅行会社を中心に画像素材を提供。