2021.07.13
連載伊東浩先生の「初心者向け撮影テクニック」
≪第4回≫被写界深度を変えてみよう
被写界深度が浅い作例 手前の緑のサイコロに合焦
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今回のテーマは被写界深度。一度くらい聞いたことがあると思います。言葉の意味は「ピントが合う範囲」のこと? まあ大体当たっていますが、より正確に言えば「ピントが合っている様に見える範囲のこと」です。屁理屈をこねれば、ピントはどこにでも合せられますから!
分かりやすく言い換えると、「被写体の前後に別の物体があって、被写体にピントを合わせたとき、前後の物体もピントが合っているように見える範囲」のこと。このピントが合った様に見える範囲が広いことを「被写界深度が深い」といい、狭いとき、「被写界深度が浅い」という表現をします。 前置きが長くなりましたが、被写界深度の例を見てみましょう。
****** この記事は、「旅と写真.comメルマガ」に掲載された記事を再構成したものです。 *****
奥のチョコレートプレートに合焦
サイコロはせいぜい1cm角で、右手前のサイコロのみ、辛うじてピントが合った様に見えます。またケーキも直径10cm位の大きさで、手前の苺はもうピントが外れています。 ただこうした前後にボケのある写真は奥行き感が出てきます。
特に人物の撮影で敢えて背景を暈して、人物を強調したい時などは、被写界深を浅くすると効果的です。
次の作例を見てください。
人の顔以外はなるべきピントから外すように撮ります。被写界深度を浅めにすると背景のうるささが消えて、主要人物が強調されます。
極端に浅い被写界深度です。まつ毛のみにピントが合って、鼻筋や眼尻もピント範囲外になっています。被写界深度10数ミリです。
次に被写界深度の深い作例をご覧ください。
風景など、全体を見渡すような構図の場合は、手前から奥までピントが合っていたほうが自然です。特に晴れた日は手前から雲までピントが合う作品が綺麗に見えますね。
次は被写界深度の深さが必須の作例です。
上は有名なお城ノイシュバンシュタイン城ですね。こういう有名処で、人を撮るときは、人と背景、両方にピントが合うように撮ります。かなり距離差があっても、概ね被写界深度の中に納めます。 下は集合写真です。パーティー会場で、参加者全員を撮るために狭い場所で前後数列に並ぶのですが、最前列から最後列までピントが合わないといけませんね。
さて、では被写界深度はどのように変えるのでしょうか?
被写界深度を変化させる要素は「F値」「レンズ焦点距離」「撮影距離」「撮像素子の大きさ」の4つです。そして、被写界深度を浅くするには、
(1)F値は絞りを開ける(数字の小さい方)
(2)レンズ焦点距離は長くする(望遠にする)
(3)撮影距離は短くする(近づく)
(4)大きい撮像素子のカメラを使う
深くするには逆方向にすればいいですね。 そのうち素子の大きさを撮影の度に変えるわけにもいかないので、現実的には、焦点距離の長めのレンズを付けて、近づいて撮れば、前後を暈した綺麗な写真が撮れます。
被写界深度の変化は試行錯誤が必要ですが、お試しいただければと思います。
参考URL
講師 伊東浩 https://tabitoshashin.com/profile/torimachi_photoconcierge_hiroshi-ito/関連記事
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