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2019.05.26

レースドール撮影の様子をご覧ください

レースドールという非常に繊細な焼き物の人形です

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人形に石膏のドレスを着せて、炉で焼いて色付けなどの装飾をするレースドール。ものすごく繊細で、作品が完成した後はドレスの部分を手で持つことはできません。今回はそんな繊細な作品を損傷しないうちに写真で残す仕事をしてきました。仕掛けに使った機材と共に撮影テクニックを解説します。

レースドールの制作アトリエ内にミニスタジオ

アトリエに黒のホリゾント(背景紙)を置いて、照明はストロボを数灯配置して撮影します。 本番では天井の蛍光灯は消します。

トップライト用ストロボ。 物撮りではトップライトが必要なこともあるので、その時に使えるようにセットだけはしておきます。

グリッドを取り付けたストロボ。周りに光が散らないように、被写体だけに光が当たるよう、仕掛けをします。 
車を運転される方は、信号機にグリッドがかかっていることがあって、一定の場所からのみ、信号機を確認できる仕掛けを見たことがあるでしょう。 あれと同じ原理です。

これはスヌート。ストロボ光を極限まで絞って、今回は人形の顔だけに光が当たる様に調整しました。

カメラに取り付けたストロボのコントローラ。これ自体は発光しません。ここから無線で各ストロボの光量をコントロールします。

被写体の周りにトップ、バック、と左右にグリッド スヌートと4灯を配置して撮ります。

物撮りではカメラにストロボを取り付けて、正面からの光で撮影することはありません。かならずメインの光源を斜め方向において、トップや後ろから補助光を入れて、陰影をつけて撮ります。今回はレースドールで一体毎の大きさや顔の向きが異なるので、作品ごとに微妙に配光を変えて撮ります。またドール自体を微妙に向きを変えることがあるので、ラウンドベースという精密に動く回転台を用いて、人形の向きが制作者の意図に合うように、動かしながら撮ります。根気のいる仕事です。

では撮った作品の一部を紹介しましょう

背後から強い光を当てた撮り方

背面からやや強めのライトを当てて、ドレスのラインを際立出せるとともに、右側からスヌートで顔に光を当てます。顔の影が欲しいとの作者の要望で、スヌートの位置を調整して影が画角内に入るように配光しています。

難し位置の顔に光を当てて撮ります

母親と子供の作品で、互いに顔が近づいた部分両方に光を入れるのが難題です。

離れた子供たちの表情に全部ピントを合わせて撮ります

4人の子供の顔にピントを合わせる撮影位置と作品の向き、そしてその配光を整えるのがかなり難しいです。

同系色の作品と背景で作品を際立たせて撮ります

黒背景に黒いドレスで、作品と背景の分離が難しいです。実はあまり大きくない作品なので、バックライト用の小型ストロボが被写体で隠し切れず、苦労しました。

どの作品も1点ごとに撮影条件を出さねばなりません。特に顔へのライティングは微調整が必要で、丁寧に撮らないと上手く行きません。 何事も被写体と真剣に向き合う、写真の原点に帰って撮る、いい機会に恵まれました!

参考URL

日本レースドール教会 http://kyokodoll.com/profile/

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写真家情報

伊東 浩詳細

得意分野 風景 拠点 13東京都 所属団体 日本旅行写真家協会
分類 プロカメラマン

東京都小金井市在住。日本旅行写真家協会(JTPA) 正会員
大手カメラメーカー退職後、写真家に転身。季節や時代で変化する、一期一会の街並みを撮り歩く。また地元自治体で「大人の遠足撮影会」を実施し、初心者から上級者まで受講者多数。

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