2021.04.18
連載伊東浩先生の「初心者向け撮影テクニック」
≪第3回目≫露出補正と日中シンクロ
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- 伊東浩先生の「初心者向け撮影テクニック」
今回は写真の明るさを調整する2つの方法に関してお話しましょう。ひとつは、カメラが適正と判断した明るさ(露出)から撮影者の判断で明るさを変える露出補正、もうひとつはフラッシュを使って明るさを足す方法です。全く違う明るさの調整方法ですが、シーンによってどちらの方法が良いか変わってきます。
****** この記事は、「旅と写真.comメルマガ」に掲載された記事を再構成したものです。 *****
目次
(1)露出補正を使おう!
(2)日中シンクロを使ってみよう!
今のカメラはその時の状況に応じてカメラが自動的に適正な露出にしてくれるのではないか? 敢えて補正など要らないのでは?と考えがちですが、実は露出を補正しないと、自分の思った通りの写真になりません。
まずは、作例を見てください。
さて、これはヨーロッパの都市の旧市街によくある構図で、狭い路地の両側に建物がびっしり立っていて、かつよく晴れた日に撮った写真です。
上の写真はカメラが決めた「自動露出」で撮っています。いわゆる「標準露出」と呼ばれるものです。これに対して、下の写真は露出補正をして、「適正露出」にしました。標準に対して+2.3EVの補正をしています。
では適正露出って何が決めるのって思われるのかもしれませんが、これこそ撮影者である貴方が決めます。貴方が撮りたい明るさで決めてもらって全くかまいません。カメラにとっての都合のいい露出が「標準露出」と言われるものに対して、自分にとって都合のいい露出が「適正露出」です。
次は、夜景でよくあるケースです。
これはカナダの田舎町、ホワイトホースの夜景です。夜景は一般的に、明るすぎに撮れます。特に、白く飛び、道路が必要以上に明るくなってしまいます。そこで-1EVの露出補正を掛けると、いい塩梅に落ち着いた都市夜景となります。
露出補正のやり方は、機材によって異なりますが、使用説明書の「露出補正」を索引で引くと、必ず設定方法が出ています。
こんな記号を探してみてください。露出補正機能を使うと、写真の出来栄えが格段に変わって、特に自分の好みに合わせた露出にすると、満足感が向上し、撮影意欲が増進します。
次は日中シンクロです。ちょっと聞き慣れない言葉でしょうか?平たく言うと、昼間の明るい状況でフラッシュを使う技法なんです。
「あれ?フラッシュって、周りが暗いときに使うんじゃ??」なんて多くの方が思っているのではないでしょうか?実は、晴れている日に使うと大変有効なんです。今回は騙されたと思って、読んでみてください。
まずは、作例を見てください。
吉祥寺のハーモニカ横丁、お天気のいい日に看板の下で撮影したものです。上側の看板には大変陽がよく当たっているのですが、アーケードの屋根にさえぎられたお嬢さんたちにはやや露出不足の状況でした。
上の写真は、前節でご説明した露出補正を使って撮っています。もちろん、顔ができるだけ明るくなるように1Ev以上プラスの露出補正をするのですが、日が当たっている看板が白トビ気味になる反面、お嬢さん達の顔もそれほど明るく撮れていません。どっちも中途半端で残念な写真です。
そこで、右側の作例の様に、露出補正を止めてカメラに内蔵しているフラッシュを発光させて撮ってみると、フラッシュ光が見事に顔に当って、看板も人も適正露出になって撮れました。これが日中シンクロという技法で、主要被写体である人物と、周りの背景の露出をバランスよく撮る方法です。
次の作例を見てください。
これはもう一目瞭然ですね。窓外の景色を入れた、素敵なホテルの部屋の写真ですが、外が明るく、室内が暗いので、日中シンクロしないと、部屋の中が真っ暗になってしまいます。
さて日中シンクロは万能ではなく、上手くいく条件があります。せっかくフラッシュを使ったのに、うまく撮れないことが無いように、極意をお教えしましょう。
1,主要被写体(明るめに撮りたい被写体)が背景に比べて、相対的に暗いこと。
2,背景となる遠方が明るい状態で、かつ手前に明るく撮りたい暗めの被写体がある事。
3,明るく撮りたい被写体の撮影距離が、概ね手が届かない程度に遠過ぎず、声の届く範囲に収まっていること。(2-8m位の範囲)
これは青空に映える梅です。日中シンクロを使うと、青空の色が映える、綺麗な梅が撮れますよ。
積極的に日中シンクロを使って、人に自慢できる写真を撮ってみましょう。
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