2019.08.27
連載兵庫県フォトライブラリー
兵庫県フォトライブラリーNo.14 夙川の桜・西宮神社・尼崎
- 旅の撮影スポット
- 28 兵庫県
- 兵庫県フォトライブラリー
- 桜
- 城・要塞
兵庫県の魅力を写真でお伝えするシリーズの第14弾は、西宮市・尼崎市の観光スポットをご紹介します。あまり観光というイメージのない地域かもしれませんが、歴史のある土地でもあり、様々なスポットが点在しています。今回は、数ある関西のお花見スポットの中でも人気が高い「夙川」、西宮という地名の由来でもあり、商売繁盛のえべっさんとして全国的に有名な「西宮神社」、個性豊かなお寺が集まる尼崎の「寺町」、そして今年再建されて大きな話題を呼んだ「尼崎城」をご紹介してまいります。
***このページに掲載されている画像をご利用いただけます***
このページは、兵庫県のフォトライブラリーとなっており、フリー素材としてご利用いただけます。
兵庫県公式観光サイト「HYOGO!ナビ」フォトライブラリーよりダウンロードしていただけるようになる予定ですが、現在準備中です。準備が整いましたら、当サイトのTOPページ「お知らせ」にて告知いたします。
【夙川の桜】
夙川公園(夙川河川敷緑地)は、「さくら名所100選」に選ばれている有名なお花見スポットです。川沿いに続く樹齢100年を越える松並木と満開の桜並木は、独特の美しい景観を生み出し、毎年大勢のお花見客が訪れます。
夙川の両岸2.8kmに約1660本もの桜が植えられおり、花の季節に阪急「夙川」駅の北から阪急「苦楽園口」駅へと続く遊歩道を歩くと素晴らしい景色が見られます。川面に桜が映る景色もきれいです。ライトアップもあり、夜桜も楽しめます。
【西宮神社】
西宮神社は、福の神「えびす様」をおまつりする神社の総本社です。商売繁盛の神様で、毎年1月9~11日の「十日えびす」には、百万人を超す参拝者で賑わいます。
1月10日の大祭終了後、午前6時の表大門(おもてだいもん)開門と同時に、外で待っていた参拝者が本殿までの230mを猛スピードで「走り参り」します。これは「開門神事・福男選び」と呼ばれており、本殿に到着した1番から3番までが「福男」として認定されます。この光景はテレビで実況生中継されたり、ニュースで放映されます。
本殿は三連春日造という他にはない珍しい形式です。寛文3年(1663)四代将軍徳川家綱が寄進した旧本殿は、国宝に指定されていましたが、残念ながら昭和20年の空襲により焼失しました。現在の本殿は昭和36年に再建されたものです。
≪表大門≫
鮮やかな朱色の門で通称赤門と呼ばれおり、慶長9(1604)年豊臣秀頼の寄進と伝えられています。重要文化財に指定されています。
≪南門≫
国道43号線沿いにあります、駐車場へはこの門から入場できます。
≪東門と大練塀≫
東門は表大門より少し北側にあります。
大練塀は、神社の東面から南面を取り囲むように築かれた全長247mの土塀です。現存する最古の練塀で室町時代に築造されたと言われています。
名古屋・熱田神宮の信長塀、京都・三十三間堂の太閤塀と共に日本三大練塀の一つです。大練塀は重要文化財に指定されています。
≪参道≫
表大門(赤門)をくぐると石畳の参道が続きます。普段は静かな参道ですが、正月「十日えびす」の「開門神事福男選び」では、男たちが一番福を目指して本殿までをかけぬけます。
≪拝殿≫
赤い柱の立派な拝殿です。拝殿下左右には、青銅製狛犬一対、青銅製の馬が一対があります。拝殿の奥に本殿がありますが、普段の参拝は拝殿までしか入れません。
≪拝殿の東側に並ぶ建物≫
向かって左から「神輿殿」「大国主酉神社」「六甲山神社」「百太夫神社」「火産霊神社」。
≪神池≫
神池は、境内中央、社殿前につくられた池です。拝殿正面に石造りの太鼓橋「瑞寶橋」が架かっています。「瑞寶橋」は登録有形文化財(建造物)に指定されています。
≪神馬(しんめ)≫
参道沿い祈祷殿横に神馬舎があります。十日えびすの前夜にえびす様が市中を乗馬で巡回されるという伝承があります。
≪常夜灯型道標≫
表大門の外、東南の角に、高さ258センチの常夜燈型道標があります。寛政11年(1799)の建立当時は、今建っている場所からえべっさん筋を挟んだ向かい側にありました。西宮市文化財に指定されています。
【尼崎 寺町】
寺町は、元和3年(1617)尼崎城築城の際、城下町形成の一環として城域に分散する寺院を集めて作られた町です。寺院を町から分離してその影響力を弱めるとともに、城を防御する目的があったと考えられています。
江戸時代初期の城下絵図では20か寺確認できますが、藩主の交代に伴う移転や廃寺で、現在は11か寺になっています。この一帯は趣ある旧城下町の佇まいをよく残しており、1989年(平成元年)に尼崎市の「都市美形成地域」に指定されました。赤レンガ塀の趣のある通りや、老舗のおいしいたこ焼き屋さんもあります。
≪長遠寺≫
1350年(観応元年)京都本圀寺四世、妙龍院の高弟、永存院日恩(当時100歳)の開基と伝えられています。山号は大堯山(だいぎょうざん)。日蓮宗の有名なお寺です。七ツ松に創建され、のちに市場巽(現在の東本町)に再興、1617年(元和3年)尼崎城築城に際して現在の場所に移転しました。「法花寺」とも呼ばれていました。本堂と多宝塔が国指定重要文化、客殿・庫裏・鐘楼は県指定文化財です。
≪如来院≫
如来院は、1300年前、聖武天皇の勅願により行基が神崎(尼崎市神崎町)に釈迦堂を建立したのが始まりです。「神崎釈迦堂」と言われていました。
850年前、法然上人が訪れました。800年程前に洪水でご本尊(釈迦如来)と堂宇が流失。その後、阿弥陀如来を本尊とし、寺名を「如来院」として再建されました。浄土宗の寺院で、法然上人二十五霊場第四番札所です。「遊女物語」が語り継がれています。
≪大覚寺≫
寺伝によると月峯山大覚寺の開基は605年(推古13年)で、聖徳太子が百済の高僧日羅上人に命じて長州の浦(現在の大物)に建立された「灯炉堂」が起源です。律宗の寺院で、現存する尼崎最古の古刹です。
中世の大覚寺は、宗教・政治・経済・文化の中心として尼崎の発展に貢献しました。1617年(元和3年)の尼崎城築城に伴い現在地に移転しましたが、当初「尼崎城」は大覚寺の寺域にあったことから「大覚寺城」と呼ばれていました。
本堂以下の建物は、1877年(明治10年)の大火で消失し、現在ある建物は1930年代になって再建されたものです。境内にある「芦刈からくり堂」では、世阿弥作 能楽『芦刈(あしかり)』を三体のからくり人形が演じます。2月3日の節分会の12,14,17,19時の豆まきの前に上演されます。
≪本興寺≫
本興寺は1420年(応永27年)当時の尼崎城主である細川満元の帰依を得て開創されました。開山は日隆聖人。法華宗(本門流)の四大本山の一つです。尼崎城築城にともない寺町へ移転しました。
室町・桃山時代の建造物である開山堂、三光堂、方丈は国の重要文化財に指定されています。寺宝も多く、毎年11月3日の「虫干し会」に一般公開されています。
≪甘露寺≫
1940年(延徳2年)、円誉上人源永が開いたと伝わっている浄土宗のお寺です。元は大物町にありましたが、尼崎城築城に伴い寺町に移転しました。
本堂は、1687年(貞享4年)中興され、1991年(平成3年)改築されています。本堂の屋根には鳳凰がいます。
≪善通寺≫
永禄年間(1558-69)、覚阿上人の開基の時宗のお寺です。首無地蔵尊を祀る八角堂があります。赤レンガ塀と石畳が続く道は趣があります。
≪全昌寺≫
開基は慶長年間(1596年~1615年)、戸田甚五郎。戸田家の菩提寺として、現在の滋賀県大津市に建立されました。元和3年(1617)戸田氏鉄が尼崎藩主として尼崎へ移封の際、随伴した僧、雪山呑秀和尚によってこの地に再興されました。寺町で唯一の曹洞宗の寺院です。
≪法園寺≫
開基は天文年間(1532-55)、勝誉恵光法園上人。中世には別所町(現東本町3ー4丁目)にあり、近世尼崎城築城にともない元和年間(1615-1624)に寺町へ移転。
山門を入って左側の墓碑は、佐々成政の墓と伝えられています。肥後国主在任中、領地内で反乱がおこり秀吉からその責任をとらされ、天正16年(1588)尼崎で切腹させられました。
この墓碑は複製で、実物は本堂内に保管されています。寺宝は、後陽成天皇直筆の和歌の掛軸、佐々成政肖像画など。
≪廣徳寺≫
開基は明徳元年(1390)京都大徳寺の言外宗忠和尚。元和年間(1615-1624)に尼崎城築城にともない大物町から寺町に移転。中国大返しの際に、秀吉が廣徳寺に逃げ込んで難を逃れたという逸話などがあります。太閤ゆかりの寺として有名です。
【尼崎城】
元和3年(1617)譜代大名戸田氏鉄によって築城された尼崎城は、「大坂の西の守り」の拠点であり、3重の堀、4層の天守、三の丸まであった名城でした。兵庫県下で天守閣がある城は姫路城と尼崎城だけでした。しかし、明治6年(1873)の廃城令により建物は売却されたり取り壊され、堀も次第に埋められ、完全に姿を消してしまいました。
その後、再建を望む声もありましたが、資金不足や景気の影響で実現に至りませんでした。平成27年11月、旧ミドリ電化(現エディオン)創業者の安保詮(あぼあきら)氏より「創業の地に恩返しがしたい」と「尼崎城再建」の申し出があり、10億円を超える私財を投じ天守を建設、尼崎市に寄付しました。「一口城主」や「一枚瓦」で寄せられた寄付も約1億9千万円にのぼりました。
再現された尼崎城は、4重の天守と2重の付櫓がある鉄筋コンクリート造りで、石垣部分を含め高さ約24メートルです。平成31年(2019)3月29日から一般公開されています。
≪内部の様子≫
城内は、VR(バーチャルリアリティー)シアターや、ゲーム、変身までできて、コンパクトなアミューズメントパークのようです。(すべてのアトラクションは無料。入場料以外の料金はかかません。)
楽しく体験しながらお城や歴史を学べます。
*撮影:トラベルガイド株式会社 阿部吾郎
撮影スポット情報
HYOGO!ナビ フォトライブラリー