2019.01.23
連載兵庫県フォトライブラリー
兵庫県フォトライブラリーNo.8 大乗寺・香住鶴・永楽館・但馬牧場公園・志村喬記念館 ー兵庫県北部の観光スポットー
- 旅の撮影スポット
- 28 兵庫県
- 秋
- 兵庫県フォトライブラリー
兵庫県北部には、No.6でご紹介した温泉、No.7でご紹介したジオパーク・北前船関連の他にもこの地域には様々なタイプの観光スポットがあります。丸山応挙の寺として知られる香美町の「大乗寺」、同じく香美町にある300年の歴史を持つ蔵元「香住鶴」、出石町にある明治34年開業のレトロな劇場「永楽館」、最新のプロジェクションマッピングを使った展示の但馬牛博物館があり、但馬牛の牛舎見学もできる新温泉町の「但馬牧場公園」、朝来市にある生野銀山の社宅を改装した「志村喬記念館」と5つの注目スポットをご紹介します。また、出石の代表的グルメ「出石そば」に関してもご紹介します。
***このページに掲載されている画像をご利用いただけます***
このページは、兵庫県のフォトライブラリーとなっており、今後フリー素材としてご利用いただけるようになります。
現在、ダウンロード方法等調整中でございますので、今しばらくお待ちください。
本件に関するお問い合わせ先は、このページの一番下からリンクしている「ひょうごツーリズム協会」のページ内にございます。
【大乗寺】
大乗寺はJR香住駅から南へ1.6km、矢田川を少し遡った山沿いの丘陵地にあります。天平17年(745年)行基菩薩よって開かれた高野山真言宗の寺院です。一時衰退していましたが、江戸時代の天明から寛政年間にかけて密蔵上人、密英上人により再建されました。
大乗寺の再建が始まった翌年の天明7年(1787年)、蜜英上人が京都に応挙を訪ね襖絵作成の依頼をしました。その時応挙と大乗寺が交わした書簡が残っています。応挙がまだ無名で京都で苦学をしていた頃、その絵の才能を見抜いた密蔵上人が学費銀三貫目を援助しました。応挙はそれをもとに江戸で学び大成します。その恩返しとして弟子とともに襖絵、屏風、軸物を描いたと言われています。
寛政7年(1795年)都合8年間をかけて障壁画は完成しました。現在、丸山応挙とその一門によって描かれた障壁画165面すべて重要文化財に指定されており、大乗寺は「応挙寺」とも言われています。
(見学時、お寺の方が一部屋ずつ丁寧に絵の説明してくださいます。写真撮影は不可です(掲載されている画像は特別な許可のもと撮影しています)。)
【香住鶴】
創業は享保10年(西暦1725年)。300年近い歴史を持つ兵庫県の旧香住町(現香美町香住区)の蔵元。
香住鶴のお酒は、古来より伝わる日本酒の製造法「生酛(生もと)造り」にこだわり、時間と手間を惜しまず全量をこの方法で製造されています。
香住鶴の近くに応挙寺として有名な大乗寺があります。香住鶴は、遠く京を離れ大乗寺の襖絵を作成していた応擧と門下生達の心をなぐさめた酒であると言われています。
【香住鶴・工場見学】
酒蔵見学ツアー。一つ一つの工程をスタッフの方が丁寧に説明してくれます。最新の設備の中に伝統の技が生きていることがよくわかります。所要時間20~30分、要予約。
【香住鶴・直売場「福智屋」】
直売場「福智屋」では、日本酒、お土産品を販売しています。お土産品は香住鶴の酒・酒粕を使用したオリジナル商品が多数あります。
酒セラーには無料試飲コーナーがあり、普通酒から季節限定酒まで試飲ができます。ラウンジでは大吟醸から純米大吟醸までの有料試飲やオリジナルのお菓子付き喫茶メニューもあります。
【永楽館】
明治34年に開館し、出石城主仙谷氏の家紋「永楽銭」にちなみ「永楽館」と名付けられました。明治後期から昭和初期にかけて、但馬の大衆文化の中心として栄えましたが、時代は映画、テレビへと移り変わり娯楽の多様化もあって昭和39年に閉館となりました。平成20年の大改修により、永楽館が芝居小屋として一番華やかかりし頃の大正11年の姿に忠実に復原されました。廻り舞台、奈落、花道といった貴重な劇場機構が残っており、現在の公演で使用することも出来ます。色もきれいに残っているレトロな看板や柱の落書きや傷も閉館当時のまま残っています。近畿最古の芝居小屋として兵庫県の重要有形文化財に指定されています。館内は公演日・貸館日以外一般公開(有料)されています。
【出石そば】
江戸時代の宝永3年(1706年)に出石藩主松平氏と信州上田藩の仙石氏(仙石政明)が国替えとなった際、仙石氏が信州から連れてきたそば職人の技法が在来のそば打ちの技法に加えられ出石そばが誕生しました。
現在出石には約50件のそば屋があります。出石焼の小皿に盛り付けてあり、五枚一組が一人前となっているのが出石そばの特徴です。小皿を箸の高さぐらい(約15皿分)食べると「そば通」といわれるとか。薬味は玉子・とろろ・ねぎ・大根おろし・わさびなど。玉子を丸々一個つゆにとく、そばとしては珍しい食べ方です。そばつゆは、一般的にはカツオとコンブの濃厚なダシが効いており、各店工夫を凝らして独自のつゆを作り上げています。
【但馬牧場公園】
但馬牛のPRと生産振興の拠点として、また動物や自然との触れ合いを通じて安らぎと憩いの場を提供し、都市と農村の交流促進、地域の活性化を目的とした牧場公園です。
園内は大きく「ファームビレッジ」「畜産」「スキー場」の3つのエリアに分かれいます。「ファームビレッジエリア」にはビジターハウス、但馬牛博物館、小動物ふれあい広場、交流センターがあり、「畜産エリア」には但馬牛を間近で見ることができる展示牛舎や実際の飼育牛舎(海外から日本に渡航された方は、牛への病気感染防止の観点から、日本到着後1週間以上経過していないと牛舎の見学ができませんのでご注意ください)、「スキー場エリア」は冬はスキー場、夏は但馬牛の放牧場になります。愛宕山山頂公園にはラベンダーやコスモスなどのお花畑、360度見渡せる展望台があります。年間を通してそば打ちや竹輪作り体験ができます。季節限定の加工体験や年間50以上のイベントも開催されています。園内にはレストラン、バーベキューハウス、宿泊施設も完備されています。
【但馬牛博物館】
入口で大きな但馬牛の剥製が出迎えてくれます。動画では世界の名牛と但馬牛の魅力を紹介、館内は壁に沿ってテーマごとの展示があります。但馬牛の歴史、オンリー・ワンと言われる理由、但馬牛にかかわる人々、但馬牛と神戸ビーフの違いなどを紹介します。館内中央には名牛「田尻号」の巨大立体造形があり、プロジェクションマッピングにより但馬牛をわかりやすく解説します。平成30年4月にリニューアルオープン。入館は無料です。
【旧生野鉱山職員宿舎・志村喬記念館】
朝来市生野町はかつて「銀山」の街として栄えました。「旧生野鉱山職員宿舎」には4棟の建屋、甲7、8、9、19号棟があります。甲7、8、9号棟は明治9年に明治政府直轄であった生野鉱山の上級官吏用官舎として、19号棟と管理棟の20号棟は、明治29年に生野鉱山が三菱合資会社に払い下げられてから建てられた社宅です。
甲7号棟が志村喬記念館となっており、内部は彼が幼少期を過ごした大正期の時代設定に復原されています。黒澤明監督作品に数多く出演した名優・志村喬の生い立ち、出演作品の資料、遺品などが展示されています。
甲8号棟は明治初期、甲9号棟は昭和中期、甲19号は明治後期の時代設定で復原されています。管理棟には『協和会館』にあった古い映写機や時計、鉱石などをが展示されています。
志村喬の生家は甲11号と呼ばれた社宅で、現在は取り壊されてありません。広場に生家の玄関のそばにあった松の木が残っています。
また、塀や井戸の周りに使われている石は「カラミ石」です。カラミ石とは鉱石から銀や銅などを精錬した後の鉱滓(製錬のときの廃棄物)を成形した重さ約100kgの石です。リサイクル品の先駆けと言えます。
*撮影:トラベルガイド株式会社 阿部吾郎