2020.10.17
連載伊東浩の「シベリア漫遊記」
真冬のシベリアに行こう その2 凍結したバイカル湖とオリホン島の魅力
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さて、イルクーツクから車で北東に、凍り付いたハイウェーを走ること4時間ほど。バイカル湖に浮かぶ島、オリホン島に到着します。真冬以外はもちろん船で渡るのですが、1月下旬から3月中旬の厳冬期には湖面が凍り、車で島まで行くことができます。ただし、「港」で専用の車に必ず乗り換えます。分厚い氷の上とはいえ、通行路は決まっており、その時の結氷状態もしっかり管理され、安全に走行できるよう、ガイドがついて観光に行きます。
そんなわけで今回は朝、イルクーツクを出て、バイカル湖上の氷の上に滞在し、結氷した湖面でしか見られない、貴重な光景に遭遇しました。
では以下に魅力的な氷の世界をご覧に入れましょう
我々は朝8時にイルクーツク市内を出発し、このレストランに11時頃到着、40分ほどで食事、トイレ、飲み物などを済ませます。そして「港」に12時着、ここから湖面走行専用車に乗り換えます。
ここから湖面を走ってオリホン島に向かいます。
オリホン島と本土の海峡部、島自体はそれほど陸地から遠くありません。陸地と島の断層地に湖水が入ったようなところです。左側が島です。 右が本土。
結氷の下の白いのはメタンガスが凍った、メタンバブル。透明度は高いので結構氷の下が見えます。氷が割れると400mくらい沈みます。考えたくないですね。
バイカル湖の氷上を走って、島の南端で一旦車をおりると、氷上を歩いてメタンバブルなどを見に行きます。陸地と島の間、島の西側は水深は浅いのですが(それでも数百メートル)島の東側はバイカル湖の最深部があり、水深1000メートルを超えます。氷の厚さは数10センチあって温度も低いく、いわゆる堅い氷ですが、下が透けると中々スリルがあります。
氷上は昼間でもマイナス30度近くあるので完全防寒が必要です。靴も底の厚い断熱靴が必須です。ここから島の西側に沿って、洞窟を見ながら島の中央部まで行きます。
今回はオリホン島といっても島に上陸して島内観光をするわけではなく、ずーっと氷上をあるいて、洞窟を探すのが目的でした。3時間ほど滞在していますが、車から降りて外にいられるのは、完全防寒装備でもせいぜい20分ほどです。
湖上は街灯がないので、昼間しかいられません。明るいうちに本土に「上陸」する必要がありますので、15時過ぎには帰り支度になります。
帰路の途中に、直前までイベントを開催していた場所に遭遇しました。たぶんイベント中は有料観覧だったと思いますが、終了後だったのですが、片づけをしているスタッフに断って入れてもらいました。真冬のバイカル湖も誘客のためにいろいろ頑張ってるなという印象を受けています。氷柱彫刻は細かいところまで彫り込んであり、どれも力作ばかりでした。
最後の洞窟は、狭い入り口だったのですが、這うように入り込んで、カメラをセットして撮るので、構図は当てずっぽう。何とか撮れてほっとしました。
いかがでしたか? シベリアの冬は半端なく寒いですが、凍結した湖面だからこそ体験できる光景もあります。
このような特殊な環境での取材の機会を得られたこと、関係者には深く感謝致します。
オリホン島はイルクーツクからやや距離があり、交通手段も船に頼る現状があることから、多客時には現地に一泊した方が、いいと思いますが、真冬のこの時期はまだまだ観光客は少ないので、交通渋滞もなく、陸路だけで観光できるので、日帰りも可能だと思います。
年配者のツアーには重要ですが、氷上走行観光はトイレ施設が一切ありません。今回も3時間以上トイレに行かれませんでした。ツアー造成には十分ご配慮ください。
さて、真冬のロシア漫遊記はまだまだ続きます。 次回も乞うご期待
撮影スポット情報
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写真家情報
伊東 浩詳細
得意分野 | 風景 | 拠点 | -- | 所属団体 | 日本写真家協会 |
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分類 | プロカメラマン |
東京都小金井市在住
公益社団法人 日本写真家協会 JPS 正会員
一般社団法人 日本旅行写真家協会(JTPA) 正会員
大手カメラメーカー退職後、写真家に転身。季節や時代で変化する、一期一会の街並みを撮り歩く。また地元自治体で「大人の遠足撮影会」を実施し、初心者から上級者まで受講者多数。